第15回:相続税の原点と2028年問題

本日の日経新聞において、「非上場株の相続税評価 通達での変更、透明性確保と徹底議論が不可欠」という記事が掲載されています。非上場株式の相続税評価の見直しに向けた有識者会議がいよいよ動き出した形です。2028年の適用開始を目指し、国税庁が抜本的なルールの再定義に乗り出しています。大きな転換期を前に、そもそも相続税とはどのような思想で生まれ、なぜ今このタイミングで評価方法が問われているのか。その歴史的背景から、経営者が今後取るべき本質的な備えを整理しました。

相続税の歩み、戦費調達から格差是正へ

日本に相続税が導入されたのは、明治後期の1905年です。当時は日露戦争の真っ只中であり、膨大な戦費を調達するための一時的な手段という側面が強い制度であったと言われています。その後、戦後の1950年にシャウプ勧告によって現在の制度の原型が作られました。一部の富裕層に富が集中するのを防ぎ、機会の平等を確保して格差の固定化を防ぐ。この富の再分配という思想が、日本の相続税制度の根幹となっています。現在、最高税率が55%と世界的に見ても高い水準にあるのは、こうした歴史的な経緯があるからと言えるのではないかと思います。

通達の制度疲労と2028年へのカウントダウン

今回の見直しの対象となっているのは、法律そのものではなく財産評価基本通達と呼ばれる実務上のルールです。非上場株式は時価の算定が困難であるため、この通達に沿った評価額を時価と認めてきましたが、現在ここに大きな乖離が生じています。不自然な資産移転や複雑なホールディングス化によって評価額を数十億円規模で圧縮する手法が多発し、公平性が損なわれている点が指摘されており、国税庁が有識者会議を設置してルールの透明化を急ぐのは、この制度疲労を解消するためであるとされています。2026年末の税制改正大綱、2027年のパブリックコメントを経て、2028年には新しい評価ルールが適用される見通しです。

圧縮から準備へ、財務戦略のパラダイムシフト

相続税評価のルールが厳格化されるこれからの時代においては、株価を圧縮するために様々な手立てを考える時代から、必ずやってくる株式の譲渡に向けた準備をどのように進めていくかを時間を掛けて丁寧に考える必要を迫られる時代へ変化していくものと考えます。

  • 資金の平準化による自律的な備え:融資に頼るのではなく、保険などを活用して将来の納税資金や事業承継コストを計画的に積み立てておく。平準化という考え方で、制度変更という外部環境の変化に左右されない経営の独立性を守る。
  • 納税資金の確保:高い株価で事業を承継するには、自社株式の承継と同時に多額の現金が必要になります。また、その高い株価である自社株

事業承継の場面で問われる事前準備の質

企業としての高い信用力を維持したまま、事業の承継にあたって発生するコストに対して平準化された資金を事前に準備しておく。次世代へ確実にバトンを繋いでいくために、今からできる準備に時間を使っておく必要があります。


非上場株式の現状診断・個別相談窓口のご案内

2028年の新ルール適用後、過去に実行した承継スキームが突如として巨大なリスクに変わる恐れがあります。以下のリストに一つでも当てはまる経営者様は、手遅れになる前に現状のシミュレーションが必要です。

  • 自社株の評価方式が類似業種比準方式か純資産価額方式か把握していない
  • 資産保有会社(ホールディングス等)を活用した施策を実行済みである
  • 万一の際の事業保障を、金融機関からの融資枠だけに頼っている

弊社では、最新の動向を踏まえた自社株評価の無料診断および個別相談を実施しております。経営者様の想いに深く寄り添い、会社を永続させるための本質的な財務戦略の策定をお手伝いさせていただいております。

未来の不確実性を排除し、後継者が安心して事業運営ができるための準備するために。まずは一度、客観的な視点から現状を棚卸ししてみませんか。詳細な日程調整やご相談のお申し込みは、下記問い合わせフォームまたはXのDMにて承っております。

ヒルズ&パートナーズ株式会社 取締役 岡村 雄太