第14回:非上場株式の相続時評価が変わる!?

本日(4/15)の日本経済新聞の朝刊一面で、「非上場株の相続評価見直し、国税庁が過度な節税抑止 一部は増税に」という記事が掲載されています。記事にもある通り、国税庁は非上場株式の相続税評価額を算出する際のルールを2027年度税制改正で改正する方針を固めたと報道されています。実態以上に非上場株式の評価額を低く抑える手法を規制し、課税の公平性を確保することが目的であるとしている一方で、一部のケースでは相続税の増税に繋がる可能性、非上場企業の円滑な事業承継が妨げられてしまう可能性もあり、非上場企業の経営者にとっては関心の高い動きかと思います。

非上場株式の評価手法の厳格化とその背景

非上場株式の評価には、主に類似業種比準方式や純資産価額方式が用いられますが、今回の見直しは、これらの仕組みを組み合わせた圧縮スキームが標的になるものと考えられます。特に、資産保有会社(持ち株会社)を介した評価額の引き下げが今後は制限される可能性が高く、個人で保有するよりも法人で非上場株式を保有する方が評価を抑えやすい傾向にあったものの、今後はそのギャップが縮小し、実態に近い価値での課税が求められるようになるものと考えられます。

資産保有会社に対する監視の目

国税庁が特に問題視しているのは、実態としての事業活動が乏しく、主に節税を目的として設立されている資産保有会社の存在です。不動産や有価証券を法人に移転させ、意図的に株価を抑制する手法に対しては、評価の判定基準をより厳格化することで対処する方針である一方、これまで有効とされてきた対策が通用しなくなるだけでなく、想定外の相続税負担が発生するリスクも浮上しています。近年において有効とされている、代表的な非上場企業の株価算定における株価対策の方法をご紹介します。

1. 類似業種比準方式における指標の抑制

多くの非上場企業の株価算定で用いられる類似業種比準方式は、上場している同業種の数値と自社の数値を比較して株価を算出します。配当、利益、純資産の3つの指標が計算の基礎となるため、利益や配当金のコントロールで株価を調整することが出来ます。

  • 利益の圧縮: 役員退職金の支払い、役員報酬の増額、あるいは含み損を抱えた資産(ゴルフ会員権や不動産、有価証券など)の売却により、一時的に利益を大幅に減らす手法です。利益がゼロや赤字になれば、株価を意図的に下げることが可能
  • 配当の停止または減額: 計算式において配当は大きな比重を占めるため、事業承継直前の数年間にわたり無配とすることで株価を抑えることが可能

2. 純資産価額方式と不動産の活用

非上場株式の評価方法である純資産価額方式は、会社の資産から負債を引いた正味の財産価値を評価する方式です。純資産の時価と相続税評価額の乖離が大きな資産を利用することで、評価額を下げることが可能です。

  • 不動産による圧縮: 現金を不動産に換えると、相続税評価上の土地は路線価、建物は固定資産税評価額で計算されるため、一般的に時価の7割から8割程度に評価が下がり、さらに借入金で購入すれば債務は額面通り差し引かれるため、純資産額を急速に圧縮可能
  • 3年ルールの回避: かつては相続直前の購入でも有効だったものの、現在は取得から3年以内の不動産は通常の取引価格(時価)で評価するルールに改定。そのため、中長期的な計画でこの期間をクリアし、評価を圧縮する手法が取られてきた

3. 持株会社(ホールディングス)による階層化

今回の国税庁の見直しにおいて、特に焦点となっているのが持株会社の設立による手法です。

  • 評価の控除: 純資産価額方式で子会社の株式を評価する際、評価差額に対する法人税等相当額として37.5%を差し引くことができるルールがある
  • 多階層化による圧縮: 親会社が子会社を持ち、その子会社がさらに孫会社を持つといった階層構造を作ることで、各階層でこの37.5%の控除を繰り返し適用し、実態の資産価値よりも極端に低い株価を作り出すスキームが存在

経営者が直面する、非上場株式の評価に関する悩み

これらの手法は、法律や通達の範囲内で行われてきたものですが、あまりに極端な圧縮は、現預金で資産を持っている場合との税負担の不均衡を生じさせます。今回の見直しは、資産保有会社などの特定のケースにおける公平性を保とうとするものです。こうしたテクニックに依存した株価対策は、一度規制が入ると一気にリスクへと変わるということです。事業承継や資産管理においては、常に最新の税務当局の動向を捉えつつ、小手先の圧縮ではない本質的な企業価値の移転を考える必要があるものと考えます。今回のような増税に繋がる改正を前に、自社株式の現在の評価がどの枠組みに該当するのか、まずは早期のシミュレーションが不可欠です。

現在の自社の評価方式(類似業種比準方式か純資産価額方式か)がどちらを採用すべきであるか、またその場合の株価はどのくらいになるのか、ご存知でしょうか?

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ヒルズ&パートナーズ株式会社 取締役 岡村 雄太