第20回:法人保険のバランス見直しの依頼
5月に入り、新体制での業務も少しずつ軌道に乗ってきた頃かと思います。決算作業を終え、新たなスタートを切った会社も多いのではないでしょうか。この時期は、損益計算書と貸借対照表を改めて見つめてみながら、中長期的な事業の戦略を練り直す絶好のタイミングであると言えます。私のお客様からも、改めて会社の財務基盤を見直したいとのご依頼を頂戴し、議論をスタートさせたところです。
そのお客様は、年間で支払っている保険料とそれによって取れている保障の金額、そして何もなかった時に将来返ってくる解約返戻金の金額のバランスが正しいのかという点に悩まれており、まずは現状の加入状況を整理するところから議論をスタートさせています。様々な付き合いや紹介を通じて保険に加入されているため、全体のバランスを考えることなく提案を受けているケースも多く、現在の加入状況はかなり歪んだバランスになってしまっています。
本日は、多くの経営者が誤解しがちな法人保険の正しい見直し方と、企業を永続させるための本質的な財務基盤の強化についてお伝えします。
節税目的という最大の誤解
法人保険の提案を受ける際、いかに税金を圧縮できるかという点ばかりに目が行っていないでしょうか。
結論から申し上げますと、保険を単なる税金対策のツールとして扱うのは非常に危険です。かつて主流だった全額損金扱いの保険の多くは、実のところ課税の繰り延べに過ぎず、将来解約した際に多額の税金が課せられる構造になっています。
度重なる税制改正のリスクに晒されるだけでなく、手元のキャッシュフローを悪化させ、本来の目的を見失う原因になります。経営者が保険商品を通じて真に目を向けるべきは、目先の税引き前利益を減らすことではなく、会社を守るための確実な備えを構築することでは無いかと思います。税金を払ってでも手元に現金を残すべきフェーズもあり、保険を使って将来に資金をプールすべきフェーズもあり、この見極めが経営の明暗を分けます。
経営を支える2つの機能
法人保険が見直されるべき理由は、極めてシンプルに以下の2点に集約されます。
1. 死亡保障による事業継続 経営トップに万が一の事態が発生した場合、残された会社や従業員、そしてご家族はどうなるでしょうか。金融機関からの借入金の即時返済、当面の運転資金の確保、従業員の雇用維持、そして遺族への適切な死亡退職金の支給。さらには、分散してしまった自社株を後継者が買い取るための資金も必要になるかもしれません。これだけの巨額な現金を、外部環境に左右されず即座に用意できる手段は生命保険をおいて他にありません。後継者に無借金のクリーンな決算書を手渡すための強固な防波堤、それが保険の最大の役割です。
2. 将来に向けた着実な資産形成 保険は、時間を味方につけて計画的に資金を積み上げる機能にも優れています。経営者自身の勇退に向けた退職金準備はもちろんのこと、将来の事業投資、設備の更新、あるいはM&Aに向けた資金プールとして活用することで、企業のバランスシートをより分厚く、強靭なものに育てていくことが可能です。業績が良い時にしっかりと資金を保険という別ポケットに移しておくことで、景気後退期や不測の事態においても揺るがない経営体質を作ることができます。
法人と個人の資産を一体で捉える視点
中小企業の経営において、法人の財務と個人の資産は表裏一体です。会社の資金繰りのために経営者個人が会社にお金を貸し付けている役員借入金が存在するケースも少なくありません。このような状態で相続が発生すると、会社に即座の返済能力がないにもかかわらず、その貸付金が個人の相続財産として評価され、残されたご家族に多額の相続税がのしかかるという悲劇が起こります。法人保険を正しく活用すれば、こうした役員借入金を計画的に清算し、個人の相続リスクを法人の力で未然に解決へと導くことが可能になります。
これからの時代に考えるべき資産の最適化
金融市場が激しく変動する現代において、現金、有価証券、不動産、そして保険という複数の資産をどう組み合わせるかが企業の安定性を左右します。不確実性の高い時代だからこそ、保険は確実性の高い資産保全の要として、正しく計算され設計されなければならないということです。
弊社では、目先の税金対策の議論を排除し、死亡保障と資産形成という本来の機能に特化した、経営者のための保険プランニングを行っております。
現在加入されている保険が、本当に自社と後継者を守る形に最適化されているか。新年度というこの機に、ぜひ一度棚卸しをしてみませんか。個別相談は当サイトのお問い合わせフォームより随時承っております。

