第17回:都内マンション価格のバブルは2026年で終わるのか
千代田区、中央区、港区の都心3区を中心とした不動産市場に、不穏な静寂が訪れているといいます。本日付けの東洋経済オンラインの記事でも、売買価格が高止まりしている一方で、成約件数は足元では大幅に減少しており、在庫だけが積み上がっている状況であることが報じられています。この売れない在庫の急増は、かつての不動産バブル崩壊前夜を彷彿とさせる兆候だとも言われています。先週私がお会いしていた不動産仲介の社長も直近の成約件数の減少には頭を抱えている様子で、店頭に並んでいる高額なタワーマンションの物件情報も、かえって売主の高値売却に対する期待感だけを作ってしまっていると嘆いていました。
本日は、最新の市場データが示す実態と資産を持つという観点から重視すべき視点について整理します。
"38%"もある現実との乖離
足元の中古マンションの転売市場において最も注視すべきは、売出し価格と実際の成約価格の乖離です。2026年3月時点で、この差は過去最高の38%に達しているといいます。過去10年の平均が約17%であったことを考えると、いかに売り手の期待値だけが独り歩きしているかが分かります。この乖離を生んでいる背景には、仲介会社による過度な物上げ競争があります。専任媒介契約を目指すがために、相場を度外視した高値での売却を提案し、結果として売れない在庫が1年前より45%も急増するという事態を招いています。

資金の供給が不動産価格を大きく左右する
不動産価格を決定付けるのは、需給と資金の流れであると言われています。今年2月、金融庁が地銀に対して不動産融資の増加に対して警告を発したとされています。これに呼応するように、日本銀行の短観における貸出態度判断DIでも、短期転売を目的とする中小・中堅企業への融資姿勢が厳格化の兆しを見せています。 潤沢な資金供給を背景にして値上がりを続けてきていた不動産価格も、資金供給という値上がりの材料がなくなると、投機的な買い手によって支えられてきた都心3区の転売バブルは、終焉に向かっていく可能性があるのです。
売りが売りを呼ぶ展開も?
東京都中央区と港区の2億円以上の中古マンションの所有者は、約1割が外国人、約3割が日本国内の法人であり、本質的な居住を目的として購入しているというよりは、資産運用の側面が強く保有していると言えるのではないかと思います。そのため、この先需要が減少する、資金の供給力が低下するといった要因で不動産価格が低下していく局面においては、早々に利益を確定させる目的で売却も視野に検討を始める可能性があります。そうなると、売りが売りを呼び不動産価格全体が急降下するような展開も可能性としては考えられるとともに、まだまだ都内湾岸部を中心にマンション建設計画が数多く残っていることからも、需要と供給のバランスが崩れ始める可能性があります。
不動産価格の調整局面では、どのように立ち回るべきか
市場が停滞し、在庫が積み上がる局面は、見方を変えれば買い手にとっては絶好の買い場であるということが言えるかと思います。まず生まれるのが、指値交渉ができる可能性が高まるという点で、買い替えのために期限が決まっている売主や融資の返済を急ぐ転売業者の物件は、早期での売却を進めざるを得ない状況となり、大幅な価格交渉が可能になる可能性があります。また購入者にとっては、購入の検討にかけられる時間的な余裕が生まれるという点も、買い手有利な買い場であると言えるのではないかと思います。瞬時に物件が蒸発していってしまうような狂乱期とは異なり、立地や設備、そして資産としての本質的な価値を冷静に見極める余裕が生まれます。「この物件多くの引き合いをいただいておりまして、今週中にはお返事をいただきたいです」なんていう営業にあったことがある方も多いのではないかと思いますが、これからはそんなこともなくなるのかと思いますし、そもそもこのような早期の検討を促すセリフってどこまで本当なのか、私はいつも疑ってしまいます。
財務・資産運用に関する個別相談のご案内
市場の転換期において、現在保有されている不動産や自社株の評価が、将来の財務状況にどのような影響を及ぼすか。あるいは、バブル崩壊のリスクを回避しながら、どのように戦略的な投資を行うべきか。ヒルズ&パートナーズでは、最新の金融・不動産動向を踏まえ、法人と個人の資産を最適化するための個別診断を行っております。
- 現在所有している資産の適正な出口戦略を知りたい
- 融資環境の変化に備え、財務体質を改善したい
- 資産承継を考慮した、不動産と保険のポートフォリオを再構築したい
ご相談は、問い合わせフォームまたはXのDMより随時承っております。
ヒルズ&パートナーズ株式会社 取締役 岡村 雄太

