第13回:AIではできない仕事を強みに!

2026年現在、生成AIは私たちの業務プロセスに完全に組み込まれ、かつての検索エンジンと同じように当たり前の道具となりました。AIの技術が日常に溶け込んだ今だからこそ、AIだからできる仕事の領域と人間だからできる仕事の領域の境界線は、これまで以上に鮮明になっています。

AIが圧倒的な精度で代替する分野

AIが得意とするのは膨大なデータの相関関係を見出し、定型的なルールに基づいて処理を完結させる作業です。例えばM&Aの実務においては、数百件に及ぶ契約書や財務諸表の中から、特定の法務的リスクや税務上の不整合を抽出する作業が挙げられます。人間が数週間かけて行っていたデューデリジェンスの初期分析を、AIは最新の法令や判例と照らし合わせながら、わずか数分で、しかも見落としなく完了させることが可能です。また、マーケティングやWeb制作の分野においても、AIの処理能力は驚異的です。特定のターゲット層に向けたSEO戦略の立案や、それに最適化された広告コピーの生成、さらにはプログラミングコードのライティングに至るまで、過去の成功パターンを学習したAIは、人間では追いつくことができない速度でアウトプットを出し続けます。確定申告における複雑な控除計算や、金利変動に伴う多角的なキャッシュフローのシミュレーションなども、もはや人間が手計算で行うべき領域ではありません。私が野村證券の投資銀行にいたときには、毎日様々な資料作成を行っていましたが、当時行っていた株価推移の分析やチャート作成、特定事象の抽出といった作業は、今のAI技術であれば一瞬で完了してしまうでしょう。

人間にしか成し得ない非連続的な価値

一方で、どれほど技術が進化しても、AIには決して踏み込めない人間にしかできない領域もたくさん残されていると思います。それは、論理やデータだけでは解決できない人間特有の心理的葛藤や、価値観の衝突を調整する領域、私はそれを広いくくりにおいて「営業力」と言えるのではないかと思います。M&Aの最終局面における価格交渉や条件のすり合わせ、信頼関係や感情が成約の可否を握るような商談、会社の未来を作り出すための経営会議がその最たる例ではないかと思います。人間が信頼関係を築くためには、数字上の合理性だけでなく、言葉の裏にある思いや不安を汲み取った繊細なコミュニケーションが不可欠です。先日のブログで書かせていただいたコールドフィートのような、決断直前での迷いを取り除きその背中を静かに押すことは、感情を持たないAIには立ち入ることができない、極めて人間的な仕事ではないかと思います。また、AIは与えられた目的を達成するための最適な手段を提示してくれますが、なぜその事業を成し遂げたいのか、社会に対してどのような責任を果たしたいのかという意志を持つことはありません。計算可能な未来を提示してくれるAIに対して、計算だけでは説明することができない物事の価値を見出すことができるというのは、やはり人間だからこそできる仕事なのではないかと思います。

共生時代のプロフェッショナルへ

これからの世界で生き残るプロフェッショナルは、AIによってもたらされる情報をフル活用することを前提とした上で、その先に生まれる人間の感情的な価値を提供できる人物ではないかと思っています。AIが出した答えをひとつの材料として使いこなすことが重要だと思います。

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2026年4月28日(火)に「AIがこれからの中小企業経営を根底から変える!AIを活用した企業経営セミナー」をオンライン開催いたします。本セミナーでは、人手不足や生産性の限…

ヒルズ&パートナーズ株式会社 取締役 岡村 雄太